高尿酸血症とは
尿酸は「プリン体」と呼ばれる物質から体内で作られます。
プリン体はビールや魚卵、肉類、魚介類などに多く含まれており、これらの食品を好んでよく摂る方では尿酸値が高くなりやすい傾向があります。
尿酸値が高いだけでは症状はありませんが、高い状態が長く続くと、尿酸が結晶となって関節にたまり、炎症を起こすようになります。この炎症が、激しい痛みを伴う 痛風発作 です。典型的には足の親指の付け根が赤く腫れ上がり、歩くのも困難になるほどの痛みを生じます。
女性より男性に多くみられる病気ですが、閉経後には女性にも増加します。また、尿酸が腎臓に沈着すると 痛風腎 を起こし、腎機能低下や 尿路結石 の原因にもなります。
さらに、高尿酸血症は痛風だけでなく、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞 などのリスク因子としても知られています。
糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病と深く関係しており、適切な管理と治療が重要です。
高尿酸血症の原因
血液中の尿酸の量は、体内での「産生」と「排泄」のバランスで保たれています。どちらか一方が崩れることで尿酸値が上がります。原因には以下のようなものがあります。
尿酸の産生が増える場合
- プリン体を多く含む食品の摂りすぎ
- アルコールの多量摂取
- 肥満
- 強いストレス
尿酸の排泄が減る場合
- 腎機能の低下
- 水分摂取の不足
- 利尿薬など一部の薬剤の影響
- 遺伝的な体質
日本人では、「排泄低下型」が約6割を占め、「産生過剰型」が約2割、両者が混在するタイプが2割程度とされています。
診断
血液検査で尿酸値を測定し、7.0mg/dL以上 であれば高尿酸血症と診断されます。
痛風発作を起こした場合には、典型的に足の親指の付け根が腫れて強い痛みを生じますが、他の関節に起こることもあります。
関節エコー検査で尿酸結晶の沈着を確認できることもあり、診断の参考になります。
また、尿検査を併せて行うことで、尿酸が過剰に作られているのか、排泄がうまくいっていないのかを判断し、治療方針を決めていきます。
なお、痛風発作のきっかけとして、肉類やビールの摂りすぎ、急な飲酒量の変化、脱水などがあります。
尿酸値が一時的に急上昇・下降することで発作を誘発することがあり、発作のときに必ずしも尿酸値が極端に高いとは限りません。
治療
① 痛風発作の急性期
強い痛みを伴う発作が起きた場合、まずは炎症と痛みを抑える治療を行います。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が中心で、必要に応じて副腎皮質ステロイドを使用することもあります。
この時期に新しく尿酸を下げる薬は開始せず、痛風発作が落ち着いてから開始することが重要です。すでに内服している場合は中止せず、医師の指示のもと継続します。
② 痛風発作が落ち着いたあと/発作を起こしていない高尿酸血症
生活習慣の改善が治療の基本です。
- プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取を控える
- 十分な水分をとり、尿酸を体外に出しやすくする
- 適正体重を保ち、バランスの取れた食事を心がける
生活改善だけで尿酸値が下がらない場合には、尿酸の「産生を抑える薬」または「排泄を促す薬」を使用します。
腎機能や合併症の有無を確認しながら、患者さんごとに適した治療を選びます。
まとめ
高尿酸血症は痛風だけでなく、腎障害や動脈硬化、心血管疾患とも関係する病気です。
症状がなくても、尿酸値が高い状態を放置すると将来的にリスクが高まります。
健康診断で尿酸値の上昇を指摘された方や、痛風の発作を経験された方は早めの受診をおすすめします。
当クリニックでは、検査・診断から生活指導、薬物療法まで、一人ひとりに合わせた治療を行っています。
気になる症状や数値がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。